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まずは基本治療!
治療の方法については歯科医院によって少し違いがありますので、ここでは一般的な方法についてお話ししましょう。歯医者さんは患者さんが歯周病にかかっていることがわかると、まず歯周病の状態を調べます。ここでは歯肉がどれだけ炎症をおこしているか、歯周組織がどれくらい崩壊してしまったかなどを調べます。その結果から歯周炎になった原因を推察して、治療の方法を決めていくのです。
治療の方法は大きく分けて2つあります。1つは基本治療と呼ばれている方法で、歯肉炎、歯周炎の場合は患者さんすべてが受けなくてはならない治療です。もう1つは基本治療に附随した治療法なのですが、こちらは患者さんの病気の状態によってその内容が異なります。薬だけで歯周炎が治るということはありません。
基本治療にはプラークコントロールとスケーリング・ルートプレーニングという口の中のプラークを取り除くための治療法が2つあるのですが、これは患者さんが両方とも受けなければならないものです。
”歯周病を起こすものは何?”の回でもお話ししましたように、歯周病を起こす直接の原因はプラークの中にいる細菌ですから、この2つの治療を行って、口の中の細菌を全部取り除いてしまうのが理想なのですが、現実問題としてそれは不可能です。ですから、基本治療においては、細菌の数をできる限り少なくすることで、細菌に対する抵抗力を細菌の毒性よりも高めることが大きな目的となります。ですから言葉も'プラーク除去'ではなく'プラークコントロール'となっている訳です。
では今回はこの2つの治療法について具体的にお話ししましょう。患者さんによる治療法:プラークコントロール
プラークは歯肉のフチよりも上の歯面に付着していて直接見ることができるプラーク(歯肉縁上プラーク)(図1)と歯周ポケット内で歯面に付着しているプラーク(歯肉縁下プラーク)とに分けられています(図2)。歯肉縁上のプラークの細菌を少なくする行為をプラークコントロールと呼んでいますが、これは患者さんに行っていただく治療法です。歯肉縁上プラークはいったん取り除いても24時間後には再びつくられますから、もし歯医者さんでプラークコントロールを行うとなると、患者さんは毎日歯科医院に通わなくてはなりません。そこで患者さんが自分でプラークを出来るだけ少なくしていただくことが必要になるのです。歯周治療は患者さんの協力がなくては成り立たない、ということですね。
<図1>赤く染まっているところが歯肉縁上プラークが付着している場所です。
<図2>歯肉のフチより上(線より上の黄色の部分)のプラークが歯肉縁上プラークで、歯肉のフチより下(線より下のオレンジ色の部分)が歯肉縁下プラークです。
では、実際に患者さんは何をすればよいのでしょうか?プラークコントロールの方法として考えられているものには薬品を使う方法と機械的にプラークを取る方法とがありますが、薬品を使う方法については色々なところで研究されていますが、残念ながらまだ成功していません。ですから患者さんに行っていただくのは、現在のところは機械的な方法です。これはつまり歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロスなどを用いて歯面を擦ってプラークを取り除く方法です。
使用方法については歯周病の予防の回でお話しすることにしますが、プラークコントロールがきちんと行われると歯肉の炎症はかなり軽くなります(図3・4)。
<図3>歯周炎の患者さんの治療を始める前の状態です。
<図4>同じ患者さんのプラークコントロールを初めてから1週間目の状態です。プラークコントロールはかなり上手く行われていますね。歯肉の腫れも少なくなってきています。歯科医師による(基本)治療法:スケーリング・ルートプレーニング
歯肉縁下のプラークコントロールは歯医者さんが行います。この操作をスケーリング・ルートプレーニングと呼んでいます。この治療法の目的はプラークを取ることのほかに、歯石、歯の表面にくっついている細菌が作ったものを取ることも含まれています。
一般的にスケーリング・ルートプレーニングを行うのは、プラークコントロールがうまく行えるようになってからです。それは歯肉縁下のプラークが形成されるのは歯肉縁上のプラークの影響を受けるためです。つまり歯肉縁上のプラークが少ないと歯肉縁下プラークの発生の程度も少なくなるからです。
この治療を行うには、手で使用する器具を用いたり、超音波を用いる場合があります。その他スケーリング・ルートプレーニングを終了してから細菌が増えるのを長時間にわたって防ぐことのできる薬剤を歯周ポケットの中に入れることもあります。
今回はプラークコントロールとスケーリング・ルートプレーニングという治療法についてお話ししましたが、これらの基本治療が終了した段階で歯周炎が軽度な場合でも、重度な場合でも歯肉の腫れはほとんど見られなくなるのです(図5・6)。
最初の段階でしっかり治療を行うことが大切なんですね。
<図5>軽度の歯周炎の患者さんの治療を始める前の状態です。歯肉の腫れが見られます。
<図6>同じ患者さんの基本治療が終了した時の状態です。歯周炎は治っています。
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