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病気が治るとは?
 この質問にたいして私は治るとお答えしています。時々、”歯周病は治るのか?”と聞かれることがありますが、それにお答えする前に"病気が治る"とはどういうことなのかについて考えてみたいと思います。治ったという状態には大きく分けて2つのタイプがあると思います。その1つは、A. 風邪などが治ったときのように、からだが病気になる前の健康な状態と同じになることです。もう1つのタイプは、B. 再生能力のない組織が壊されたり、切りとられた場合のからだの治癒(ちゆ)の状態です。これは例えば肺結核になったときにできた肺の空胞や、盲腸炎で盲腸を切除した後に病気が治っていくときの場合なのですが、組織が破壊や切除によって失われたままで、健康を回復することです。 歯周炎で病気が治った状態もこのBの状態です。

現状は?
 
現在歯周炎が治ったと考えられている状態というのは(1)歯肉の炎症がなくなっていること、(2)咀嚼機能が回復していること、(3)病気の再発を起こす危険が少ないこと、の3点なのですが、最近では歯周炎によって壊れてしまった組織が再生できないかと研究が行われているところです。この研究が進めば、将来は先ほど述べたAのような治癒の状態が期待できるかもしれません。

 それでは、歯周病が治ったと考えられている状態を具体的に紹介していきましょう。図2は、図1の患者さんの治療が行われ、治ったと考えられてから2年経過した時の状態です。ちょっと見ると図1と図2とでは違う方のように見えませんか?これは治療をした後に歯肉の炎症がなくなったのと、歯周組織が破壊されて失くなってしまったために、歯が延びたように見えるからです。図4も図3の患者さんが治療をして5年経過した後の様子なのですが、歯の根が見えるようになっていますね。これも歯周組織が崩壊したためです。


<図1>歯肉炎症の強い歯周炎の治療前の状態です。10mm以上の歯周ポケットが多くの部位に見られます。


<図2>歯周病が治った状態です。歯周ポケットの深さは2mm以下になって、その状態を維持しています。右の歯に出血があるのはポケットの中を触ったために起きたものです。


<図3>歯槽骨が歯根の約半分まで吸収してしまった歯周炎の治療前の状態です。黒く見えているのは歯石です。


<図4>歯周病が治った状態です。歯根の露出と歯と歯との間に隙間が見られます。

 

 図5と図6も治療する前と後の同じ患者さんの写真です。この場合、下の歯の中央の歯2本については組織が再生されることを期待して治療が行われました。図6は治癒したと考えてから3年経った状態ですが、歯肉が大きく下がるのを防ぐことはできました。ですが理想とするならば同年代の図7の方のような状態にまで回復しないかなと考えています。


<図5>32歳女性の治療前の状態です。下の歯の前2本の歯槽骨は歯の根の先近くまで吸収していました。


<図6>歯周病の治療が終了した状態です。下の歯の前2本の歯根の露出は少ない状態に保たれています。

 


<図7>31歳女性の歯周組織の破壊が見られない状態です。歯肉も健康です。

歯周組織の再生
 
先ほどお話ししたように、”歯周組織の再生”という課題については現在世界中で研究が行われている段階です。その成果として、ある特定の形で破壊された歯周組織は再生が可能になってきています。下のX線写真像に注目してください。図8は治療前の状態ですが、○で囲んだ部分の歯周組織が崩壊していることがわかります。図9は治った後2年が経過していますが、組織が再生されている様子が見られます。どのような治療が行われたかについては別の機会にお話ししますので、その時にお読みください。


<図8>歯槽骨の○印のある部位に歯槽骨の吸収が見られます。


<図9>図8に示した患者さんの治療が終了した後の状態です。図8と同じ部位に歯槽骨の再生が見られます。

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