タブをクリックしてください。
間接的に歯周病を起こすもの - 生体側の原因
第7回から間接的に歯周病を起こす原因についてお話ししていますが、復習をしますと、間接的な原因には、1. 細菌の働きを助けるもの、2. 細菌が歯面に付着するのを容易にするもの、 3. 細菌を取り除くのを妨げるもの、そして4. 生体の側に問題があるものとがありました。第8回の今回は、最後の生体(ひとのからだ)の側に問題があるものについてお話しします。生体側に問題があると、歯周病を起こしやすくしたり、さらに悪化させることが考えられます。からだの病気
まず歯周病を起こしやすくする原因についてお話をします。第6回でお話ししたように、歯周組織の健康は、細菌に対する人のからだの防御力と細菌の毒性とのバランスがうまく保たれていることで成り立っています。ですからからだの防御力が細菌の毒性よりも少ない状態だと歯周病になりやすくなると考えられます。
例えばある病気にかかってしまい、細菌に対する抵抗力が弱くなると、歯周病にかかりやすくなります。抵抗力を弱くするからだの病気としては白血球に異常をきたすような病気(代表的な病気としては白血病)や糖尿病などがあげられます。口を開けたままにしていると?
気が付くとつい口を開けたままにしていた、なんていうこと、みなさんはありませんか?歯肉はだ液によって湿っている状態が正常な状態だと考えられているのですが、口唇(くちびる)を閉じずにいると歯肉の一部が乾くことがあります。歯肉が乾くと細菌に対する抵抗力が減少し、病気になりやすくなると考えられているのです。このような状態が長く続くと、乾燥した部分の歯肉に炎症が起こることがあります(図1・2)。
なお口唇が閉じない理由としては慢性の鼻の疾患(しっかん)、不正な歯並び、そして口唇の緊張がゆるむことなどがあります。
<図1>いつも唇が開いている状態です。下の歯の歯肉が見えることに注目して下さい。
<図2>図1に示した人の下の歯の歯肉の状態です。乾燥していると思われる部位に強い歯肉の炎症が見られます。(他の部分より赤っぽい。)歯の間に食べ物がはさまると・・・
それでは次に歯周病を悪化させる原因についてお話をします。第1回で話したように歯周病は歯肉の炎症--->歯周組織の崩壊、という順序で進行します。実は、私たちが何気なくしている食事のしかたによっては、組織が崩壊するのをはやめて歯周病を悪化させてしまうことがあるのです。
食事をしていると、歯と歯との間に食べ物が挟まることがありますが、特にお肉など、線維の多い食べものが挟まると歯肉の中にめり込んでしまうことがあります(図3)。このような状態になると歯を支えている歯肉の線維の断列(切れること)が起こって、普通は痛みを感じます。さらに食べものが長時間挟まったままだと歯槽骨の吸収が起こり(図4)、深い歯周ポケットが作られます。
<図3>歯と歯との間に肉の線維が挟まっている状態です。歯肉から血が出ているのはこれを取り除こうとしたためです。
<図4>図3に示した部位のX線所見です。本来歯槽骨があると思われる部分を黄色で示しました。歯槽骨の吸収がわかりますね。このとき歯肉が健康な場合だと、挟まった食べものをすぐに取り除けば、歯周組織はもとの健康な状態に戻るのですが、歯肉に炎症があるとその炎症のために修復がうまくいかず、線維の断烈や歯槽骨の吸収がすすみ、歯周組織が破壊されるのもはやくなります。
歯ぎしり
<図5>歯ぎしりのある人の状態です。歯の摩滅(まめつ)があることに注意して下さい。また歯肉にも炎症が見られます。
歯周組織に強い力が働くものには色々ありますが、その代表的なものとしてあげられるのが歯ぎしりです。歯ぎしりはふつう、夜眠っているときに無意識に上下の歯を強く接触させて、下のあごを左右に動かす現象です。このため歯ぎしりをすると歯の噛みあわせる面はすり減ってしまいます(図5)。
また歯ぎしりをして歯を強く噛みしめると、歯周組織にもかなり強い力が加わるので障害を受けます。歯肉が健康な場合にはもとの状態に戻ると考えられていますが(図6)、歯肉に炎症があると、歯周組織の受けた障害がもとに戻らず、崩壊が速くなります(図7)。
図6。図5に示した人と同年代の人で歯ぎしりがありますが、歯肉に炎症が無く、歯周組織の破壊は見られません。
図7。図5に示した人のX線所見です。強い歯周組織の破壊が見られます。
歯の早期接触
<図8>歯が外側と内側に動かされている状態を示した模式図です。歯槽骨の上の方に吸収が起こります。
<図9>早期接触によ って歯が動かされることを示した図です。下の歯が動かないものことを前提としています。早期接触がある場合(1)最初に実線の部位で上下の歯が接触します。(2)次に他の歯が接触するために、下の歯がアミ目の部分へ動きます。(3)そのため上の歯は点線で示す位置に動かざるを得なくなります。(4)下の歯との接触がなくなれば上の歯はもとの位置に戻ります。
このことが繰り返され歯肉に炎症があると、歯は指で触っても動くようになります。
強い力でなくても歯がいつも動いていると、やはり歯ぎしりをする時と同じようなことが起こります。このとき歯肉が炎症を起こしていると、歯周組織の破壊がはやく進みます(図8)。これを早期接触といいます。この現象は歯をかみ合わせたときに、ある1、2本の歯が他の歯よりも早く接触するような場合に見られるのですが(図9)、この現象はほとんど自覚症状がないので、発見されるのは歯が動くようになってから、なんていうことが多いのです。タバコで歯周病に?
喫煙も歯周組織の破壊に関係があるといわれています。歯周組織は色々な障害を受けることが今までのお話からわかりましたが、それでも健康を保っていられるのはからだがその障害を修復しようと働くからです。ですがタバコに含まれるニコチンにはその修復する力を減退させるという報告があるのです。このような理由からタバコを吸うことは歯周組織の崩壊をはやめてしまうと考えられています。
Copyright Sueda Dental Clinic. All Rights Resereved.