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 前回までのお話では、歯周病を起こす直接の原因であるプラーク中の細菌が、どのようなメカニズムで歯周病が起こすかを知ることができました。そこで今回と次回は間接的に歯周病を起こす原因についてお話をしようと思います。間接的な原因には、1. 細菌の働きを助けるもの、2. 細菌が歯面に付着するのを容易にするもの、あるいは 3. 細菌を取り除くのを妨げるものと、4. 生体の側に問題があるものとがあります。その中で今回は細菌と関連するものについて話をします。みなさんも鏡で口の中の状態をチェックしてみてください。

歯石の正体は何?
 細菌が歯面に付着するのを容易にするもの、あるいは細菌を取り除きにくくするものの代表的なものは歯石です。歯石は歯の表面にしっかりと付着しているもので、プラークに唾液中などに含まれているカルシウム が沈着したものです。つまりプラークは石灰化していて、その部分の細菌は死んでいるので、歯石そのものには病因性はないと考えられています。
 図1・2で歯石の状態を観察してみましょう。歯石の色は、黄白色で歯と似た色をしているものや黒褐色をしているものがあります。その様子は、図に見られるように歯の表面を被うように(板状に)付着している場合や、点状に付着している場合などがあります。歯石が特に付きやすいのは下の前歯の裏側と上の奥歯の外側です。ただ、ついている量に差はあっても大体すべての歯に見られます。


<図1>下顎の前歯の舌側(裏側)に歯石が付着している状態です(○印)。歯肉が赤く腫れていますね。


<図2>下顎の前歯に茶褐色の歯石が板状ないし点状に付着している状態です。周囲の歯肉には強い炎症が見られ、膿が出ているのもわかります(矢印)。

 

<図3>歯周ポケット内で歯に付着している歯石の顕微鏡像です。プラークの歯に接している部位から石灰化が始まり、歯石が形成されているのがわかります。また歯石の周囲には細菌層(プラーク)が見られます。

 歯石の石灰化はまずプラークと歯とが接している部位から始まります。プラークが石灰化して歯石に変わっていくと、その分だけさらにまたプラークが付着するので、歯石の周囲にはプラークが常に存在していることになります。図3をみるとその様子がよくわかります。つまり歯石周囲には生きた細菌が生息しているのです(図3)。 
 しかも石灰化した歯石は顕微鏡で見ると平滑な面をしているわけではなく、常にデコボコしているためにプラークがとれにくい状態になっています。放っておくと時間と共に石灰化は進行するので、歯石はだんだん大きくなります。さらに歯石が大きくなって歯石が歯肉を被うようにまでなると、歯肉と歯石の間にはプラークが取り除かれるような因子が働かないのでプラークにとっては安住の地となってしまいます。またこの隙間は空気に触れにくいので歯周病を起こす嫌気性菌(第5回)の住み易い場所となります。


<図4>歯が重なりあって生えているためにプラークが付着している状態です。歯肉も赤くなっています。

歯列不正
 
別の原因としては歯が生えている位置の異常があります(歯列不正)。特に歯と歯とが重なりあうような状態だと、どうしてもプラークが溜まりやすくなります。またそのような場所は歯磨きをする際もプラークを取り除くことが難しいので、細菌が常に存在するようになるのです(図4)。


<図5>歯肉に接して齲窩がある状態です(○印)。

齲窩
 3つ目の原因として挙げられるのは歯肉に接している部位にある齲窩(うか:虫歯の病変のある部位)です(図5)。齲窩は細菌によって形成されているものなので、この中には常に細菌が存在しているのです。この中の細菌は残念ながら病変のある部位を削り取らないと除去することが出来ません。


<図6>冠がかぶせられている歯です。矢印の部位に段差があるために、歯肉が腫れています。

充填物や冠の不適合
 もう一つの原因は虫歯の治療で歯に充填(詰めもの)をした時や冠を被せた場合です。その際充填物や冠が歯肉に接していて、さらにそれらのものが歯より出っ張っていて、歯との間に段差ができてしまうことがあります(図6)。このような場合、その段差の下にプラークが付きやすくなり、取り除くことも困難になります。

 みなさんの口の中の様子はどうでしたか?今回は特に歯の生え方や詰め物など、以外にも身近な原因で細菌が増えてしまっていることがわかりました。もう一度、歯や歯肉をチェックしてみる必要がありそうですね。


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