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前回までのお話の中で、歯周病になったらどのような状態になるかをお話ししてきました。第1回でお話ししたように歯周病にかかった場合、自覚症状はほとんどなく進行していきます。ですが歯の周囲を注意深く観察すれば色々な徴候を見い出すことができます。今回は歯周病になるとどのような症状が出るのかについて詳しくお話ししていきます。
約25年前の古い資料ですが、大学の付属病院の、歯周病の治療を専門にしている科に初めて訪れた患者さんの中で、どのような症状の訴えがあるかを調べたデータがあります。そのデータを見ると、一番多かったのが、
”歯肉がむずがゆくなった”という訴えでした。2番目からは
”歯肉からの出血”、
”歯肉からの排膿”、
”唾液(だえき)がネバネバするようになった”、
”起床時に口の中が気持ち悪い”、
”口臭が気になる”、
”物が食べづらくなった”
という順になっています。その他にもいろいろありますが代表的なのは上のような訴えです。ただ患者さんが訴えるのはこれらの症状1つだけではなく、たいていの場合、幾つかの症状が重なっているのです。
3人の患者さんの場合
<図1>歯肉に炎症が見られた患者さん。初めての来院時。
これらの訴えは歯肉の炎症、口の中の細菌の増加、歯周組織の崩壊と関係しています。図1に”歯肉がむずがゆくなった”そして”歯肉からの出血”を訴えて来院した患者さんの状態を示します。歯肉に炎症があるため、歯の周囲の歯肉が赤くなり、腫れています。
このような状態は急に起こったのではなく、約3年前から気が付いてはいましたが、状態がだんだんに悪くなってきたということです。
図2は”歯肉からの排膿”、”唾液がネバネバするようになった”、”口臭が気になる”、”物が食べづらくなった”といった症状を訴えてきた患者さんの状態です。歯の周囲にはプラーク(歯垢)や歯石が大量に見られ、歯肉も炎症が起きています。また歯の根(歯根)が見られることから、歯周組織が崩壊していることも分かります。ほとんどの歯はぐらぐらしています。これはかなり高度に進行した重度の歯周病です。
<図2>歯肉に強度の炎症がみられる。円で囲まれた歯には、排膿、歯根の露出、また歯石・プラーク(歯垢)の付着が見られます。
この患者さんは最初(約20年前)に歯肉から出血していることに気が付いていたのですがそのまま放置し、約10年前には口臭に気が付いていましたが、においがとても強いという状態ではなかったのでそのままにし、5年くらい前からは食べ物が噛みづらくなってきたということです。病気の進行に伴い症状が変わってくることが分かります。
症状に気が付かなくても、歯周病以外の病気で歯科医に診察を受け、歯周病があることを指摘されることもあります。図3は義歯を入れてもらいたいと来院した患者さんの状態です。歯肉に炎症が見られます。歯肉からの出血を患者さんは気が付いてはいたのですが、約40年間そのような状態が続いているので、病気だとは考えていなかったそうです。図4はこの患者さんの治療(歯周病の治療を含む)が終了した時の状態を、義歯をはずした状態でみたものです。歯肉の炎症がなくなっています。
<図3>義歯を入れてもらいたいと来院した患者さんの状態。歯肉に炎症が見られます。
<図4>図3に示した患者さんの治療が終了した時の状態。危険信号を見逃さないで!
歯周病では自覚症状がないだけに、気づくと病気が進んでいることがありますが、実は様々な症状が歯周病のサインを送っているのですね。上でお話ししたような症状が見られたら、危険信号だと理解して下さい。
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